商品やサービスにクレームを言ってくる人のことを、クレーマーといいます。
しかし、実際には商品やサービスに不満があっても、直接文句は言わずに、企業側が気が付かないところでクレームを発信する人がいます。
このような人のことを、サイレントクレーマーといいます。

サイレントクレーマーからのクレームはネット上など間接的に言われる事が多く、クレームがどこで拡散されるかわからないのが現実です。そのため、気づかぬうちに売上減少につながってしまいます。

今回は、サイレントクレーマーの内容から対策方法・対処方法を紹介し、サイレントクレーマーを再来店につなげる方法を説明します。

サイレントクレーマーとは

サイレントクレーマーとは、不満を直接提供者に伝えないまま、サービスの利用をやめる消費者や顧客のことです。

ここでいう不満とは、商品やサービス・店員の対応などを指します。

サイレントクレーマーは、提供者が気が付かないうちに再来店をやめ、更にはネット上の口コミサイトや掲示板などで、間接的に悪評します。

クレーマーとの違い

では、クレーマーとサイレントクレーマーはどう違うのでしょうか。

クレーマーは不満を言う人ですが、その中でもサイレントクレーマーは、口コミサイトや掲示板などで間接的に不満を言います。

ネット上などで間接的にクレームを言うのかが大きな特徴です。

クレーマー内のサイレントクレーマーの割合

顧客ロイヤリティ協会によると、商品やサービスに不満を抱いた人のうち、実際に苦情申し立てをした顧客の割合は4%〜20%ほどであることが判明しています。

それ以外の実際に苦情を申し立てなかった顧客の割合は、80%〜96%と言えます。

つまり、不満を持った顧客の80%〜96%はサイレントクレーマーだといえます。

参考:第17号「苦情とはなにか?」顧客ロイヤリティ協会

日本のサイレントクレーマーの特徴

日本では、サイレントクレーマーが特に多く存在します。
謙虚でおとなしいという日本人の特性があるためではないでしょうか。

商品の欠損があったり、店員の態度が悪かったりすれば不満がたまるのは度の国でも変わりありませんが、その不満を我慢せずに直接言うのか言わないのかが、日本人と海外の違いの一つだと言えます。

日本のサイレントクレーマー|海外と比べると

アメリカン・エキスプレス・インターナショナルが日本、アメリカ、カナダ、メキシコ、イタリア、イギリス、インド、香港、シンガポールの9市場、各1000人(計9000人)に

「何回までならひどい顧客サービスを我慢できるか」と質問しました。

そこで「1度でも酷い顧客サービスを受けたら、直ちに別の会社に変える」と回答した割合は

米国32%、カナダ32%、メキシコ30%、イタリア32%、英国37%、インド31%、香港23%、シンガポール33%と各市場が軒並み3割程度に留まるのに対して

日本では56%高い割合となりました。

このように、海外と比べて、日本人は顧客サービスに対して厳しくなっています。

参考:9市場を調査結果で判明 世界基準と異なる日本のサービスの意識

些細なことにも不満がたまり、サイレントクレーマーに発展してしまうのです。

また、外国人は日本人旅行者をサイレントボムと呼びます。

直訳すると静かな爆弾で、日本人は一見不満が溜まっていなく静かそうに見えるが、実は不満が溜まっていて見えないところで不満を明かすという意味で呼ばれています。

このように日本人は、不満があってもネット上など後で内明かすというように見られています。

イタリアでのサイレントクレーマーに関する事件

2009年7月イタリアで、日本人観光客の夫妻が有名店で食事をしたところ、700ユーロ(約6万円)を請求されたという事件です。

夫妻は請求されたとおりにクレジット・カードで支払いました。

その後、ブログに書き込みクレジット・カード控えの写真を公表しました。

それを読んだ多くの日本人が、「イタリア旅行に行こうと思ったけどやめた」、「イタリアは怖いところだから行きたくない」というコメントを書き込みました。

このように、高額請求された時点でクレームはせず、後日不満をブログに書いて公表するなどしました。

これは、サイレントクレーマーの一例であると言えます。

サイレントクレーマーの怖い真実

ここではグッドマンの法則のうち、サイレントクレーマーに関する法則を紹介し、サイレントクレーマーがどれくらい脅威を持っているのか説明します。

グッドマンの法則

企業側のクレーム対応と顧客の再購入決定率の、相関関係を示した法則です。

グッドマンの法則は3つあり、サイレントクレーマーの脅威がわかる2つ目の法則を紹介します。

「不満を感じた顧客の非好意的な口コミの影響は、満足した顧客の好意的な口コミに比較して、2倍も強く影響を与える」というものです。

例えば、サービスや対応に不満を感じたサイレントクレーマーが、非好意的な口コミを書いた場合、これから購入を検討している人や再購入しようとする人に悪影響を及ぼし、割合を減らしてしまうのです。

サイレントクレーマーの対策方法

ではここからは、サイレントクレーマーを防ぐ方法を紹介します。
サイレントクレーマーを防ぐ前提として、クレーマーを防がなければならなく、そのためには顧客の声をきき、サービス向上につとめなければいけません。

アンケートを取る

日頃から顧客に不満がないかアンケートし、顧客の声を聞きましょう。実際に面と向かって声に出さなくても、紙やWeb上でのアンケートなら、不満を出しやすくなります。

そしてそのアンケート結果から、改善すべき課題をみつけ改善策と取り組みを公表しましょう。改善する姿勢や顧客によりそおうとする姿勢をアピールできます。

日頃からクレームがないかモニタリング

日頃からサイレントクレーマーに非好意的な書き込みがされていないか、口コミサイトやブログ・サジェスト(検索候補)をチェックしましょう。

モニタリングのやり方がわからなかったり、どれくらいのリスクがあるのかわからなかったりする際は、専門業者に依頼するのも一つの手段です。

サイレントクレーマーからのクレーム対応方法

先程も説明したように、サイレントクレーマーの影響は、好意的な書き込みの2倍あるため、売上減少に繋がります。

そのため、サイレントクレーマーからの書き込みは削除を検討しましょう。

サイレントクレーマーを再来店につなげるためには

では、サイレントクレーマーに再び来店してもらうにはどのような対応をしたら良いのでしょうか。

謝罪文を公表

サイレントクレーマーからの書き込みが見つかった際には、どのような課題があり改善できるのかを考え、謝罪を店頭やWeb上で公表しましょう。

サイレントクレーマーは再来店率が低いため、Web上で改善策を提示するのが好ましいです。

グッドマンの法則の1つ目に、「不満を企業に伝えてくる顧客のうち、対応に満足した顧客の再購入決定率は不満を申し立てなかった顧客に比べると高くなる」という法則があります。

また3つ目には、「企業が顧客に適切な情報提供をすることで、顧客との信頼関係が構築されポジティブな口コミが広がり、購買そして市場の拡大に貢献する」という法則があります。

このように不満があった際の対応がよく、適切な情報を提供すれば、再来店率が増加するほか、顧客増加も見込めるのです。

まとめ

今回は、サイレントクレーマーの内容から対策方法・対処方法を紹介し、サイレントクレーマーを再来店につなげる方法を説明しました。

サイレントクレーマーからのクレームに耳を傾けなければ、気が付かないうちに損失が出てしまいます。そのためには、日頃から顧客の声を聞くためにアンケートを取るのが有効です。

また、サイレントクレーマーからのクレームは、Web上で書かれていることが多いため、サジェストやコンテンツの確認など、日頃からWebモニタリングもしましょう。

サイレントクレーマーの発生を防ぎ、再来店率を増加させ、業績向上につなげましょう。