クレーマーとは、サービスや商品に対する迷惑や苦情・改善要求を言う人です。

近年では単なるサービスやプロダクトに対する要求だけでなく、単なる不当な要求や、脅迫目的のクレーマーも見られます。

そこで、「クレーマーの対応方法がわからない」「クレーマー対応でさらなる損失を防ぎたい」
という方もいるのではないでしょうか。

実は、クレーマーへの対応一つで風評被害につながることもあるため、クレーマー対応はテクニックが必要です。

今回の記事では、電話やメールにも活用できる、ケース別の悪質なクレーマー対応とそのポイントを紹介します。

ぜひこの機会にクレーマー対応を見直し、状況にあった対応方法を身に着けましょう。

クレーマー対応本が出るほどクレーマーが増えている

近年では、クレーマー対応に関する記事や書籍が出ているほど、クレーマーが増えています。
クレーマーの割合は、4.63回に1回という結果が出ており、30年前に比べてクレーム発生率は5~6倍に上がっています。

クレーマーが増えた背景として、【消費者権利の向上】です。「製造物責任法(PL法)」の施行や消費者庁の設置をはじめ、苦情を企業に言いやすくなったことが挙げられます。

クレーマーの心理的背景〜クレーマーの種類5つ〜

クレーマーが生まれる理由として、消費者の意識の変化だけでなく、ストレス考えられます。

クレーマーの心情背景として以下の5つが考えられます。

  1. もともとストレスを抱えていたという個人的な事情に基づくもの
  2. 単なる悪意をもっている場合
  3. 他の顧客との不平等さへの不満
  4. 企業に謝罪や問題解決を求める心情
  5. 他の顧客や社会を考えた正義感

上記3つと下記2つでは、クレーマー対応方法が異なります。

上記3つの「もともとストレスを抱えていたという個人的な事情に基づくもの」「単なる悪意をもっている場合」「他の顧客との不平等さへの不満」は、心情に基づいて苦情をいうクレーマーです。いわゆる悪質なクレーマーであるため、対応方法には注意が必要です。

行き過ぎた悪意ある行為や、暴力行為発生の際には、警察・弁護士などに相談するというクレーマー対応も考えられます。

それに対し、下記2つの「企業に謝罪や問題解決を求める心情」と「他の顧客や社会を考えた正義感」には、企業側にミスがあったと考えられます。

その場合、企業側に責任があるため、まずは謝罪して解決策や代替案を提示する必要があります。

例えば、飲食店で顧客に提供した飲み物に異物が入っていた場合、

「大変申し訳ございませんでした。今すぐ別のものと取り替えます。今後このようなことが起きないためにも、衛生環境の改善と、差し出す前に異物が入っていないか確認します。本当に申し訳ございませんでした。」

といったような謝罪と代替案、改善案を提示する必要があります。

h2ケース別クレーマー対応方法

ここでは「保護者向け」「接客業向け」「取引先向け」といった、ケース別にクレーマー対応方法を紹介します。

【共通】クレーマー対応の流れ4ステップ

まずは、どのケースでも使えるクレーマー対応の4ステップを紹介します。

1.謝罪

まずは「この度は申し訳ございませんでした。」といった謝罪です。

クレーマー対応においては、原因の説明や代替案の提示よりも先に謝罪をしましょう。

謝罪の言葉が先になければ、謝る気がないと認識されてしまうためです。謙虚な態度を示しましょう。

2.事情説明

次に事情説明です。企業側にどんな事情がありミスが起きたのか、相手に理解してもらえるように情報を提供しましょう。
単なるクレーマーからの攻撃を避けるような言い訳では、更に相手に不満をもたらしてしまいます。

そのため、なぜそのようなミスが起きたのか正直に説明しましょう。

3.再提案

新しい商品を持ってきたり、お詫びの品を渡すなどして代替案を提示するなど、再び提案しましょう。

4.謝罪

最後にまた謝罪しましょう。謝罪が1回では許さないクレーマーもいるためです。しっかしと現状を踏まえ、申し訳ないと思っていると証明するのであれば、最後にもう一度謝罪しましょう。

保育園・幼稚園でのクレーマー(保護者)対応

ここからケース別にクレーマー対処法を説明します。

保育園や幼稚園での保護者に対するクレーム対応方法を紹介します。

近年では【モンスターペアレンツ】と呼ばれる、単なる日常生活などの不満をはらすために苦情をいう親が増えています。

モンスターペアレンツからのクレームとは違い、保育士側のミスなどによる、園側に責任がある場合は、謝罪して改善案をチームで考えて言いましょう。

モンスターペアレンツに対する対処法としては、モンスターペアレンツは普段から言いたいことを我慢している、気持ちを受け止めてほしいという承認欲求があるため、まずは苦情や不満を相手が納得行くまで聞き出しましょう。

そして相手の不満や苦情に共感する態度をとり、事情を説明して相手の不満を和らげましょう。

クレームを生まないためにも、日頃から保護者との相談の場を設けて話しましょう。

コンビニ(レジ)など【接客】でのクレーマー対応

コンビニのレジや百貨店、リフォーム店など、お客様に使えるクレーマー対応を紹介します。

接客業において、お客さまの不満が高まる言動はしてはなりません。例えば、「違う人に聞いてください」というたらい回しにする発言や、「うん」という相づち・お客様の発言を遮っての発言です。

そうしたお客様の不満を高めないためにも、まずは謝罪をし、アルバイトで解決できない問題はその場で店長や責任者を呼ぶなど、迅速に対応しましょう。

営業や接客のクレーム対応は社員かアルバイトどちらがするべき?

アルバイトがクレーマー対応する場合、アルバイトは謝罪をし、解決できない場合は社員が担当しましょう。

社内全体でクレーマーに対応しよう

特にコンビニや飲食店などの、アルバイトが接客する職場では、バイトが顧客のクレームを受ける場合が多くあります。

そのため、今回紹介したクレーマー対応は、職員だけでなくアルバイトの方にも教育しましょう。

コールセンターでのクレーマー対応

長くコールが続いてしまった場合、「大変お待たせ致しました」という言葉をかけましょう。コールセンターでのクレーマー対応は、電話で対応しなければなりません。

コールセンターの回線には限りがあるため、お客さまを待たせている場合があります。
その場合、電話を取った際に「大変お待たせしました」とお詫びをしましょう。

また、電話ではクレーマーに面と向かって対応できないため、途中で相手が話した内容を要約して確認し、齟齬を防ぎましょう。

クレームの対象は、企業の商品やサービスに対してであるため、クレーマーに怒鳴られても顧客の主張に耳を傾けしょう。

心理状況の読み取りも必要です。商品やサービスに対する問題や困りごとの解決のため感情的になっている顧客がほとんどですが、中には日々の不満をぶつけたい、特別扱いしてほしいという理由で何度も電話するケースも存在します。

また、コールセンターの現場でクレーム対応する場合、自分では解決できず、担当者が解決する内容が多くあります。

転送先や担当者にスムーズにつながるよう、日頃から担当者を確認しましょう。

【会社編】取引先からのクレーマー対応

取引先からのクレーム対応について紹介します。間違ったクレーマー対応をしてしまうと、信頼関係はより悪化し、取引がなくなってしまう場合もあります。

まずは事情を説明する前に謝罪しましょう。

クレームの内容によっては、商品やサービスについての不満もあれば、営業の方など担当者の態度や言動について不満を持つクレーマーもいます。

その場合、担当者の上司も責任を持って謝罪しましょう。

書面でのクレーマー対応は手紙で返すべき?

顧客からは電話だけでなく、手紙やメールでのクレームも増えています。電話番号や住所が記載されていない場合、手紙やメールで返しましょう。

返信はなるべくその日のうちに返しましょう。

件名は「成分表記の誤りに関するお詫び」のように、本文の内容がわかるように書きましょう。

本文に入る前に宛名を必ず記載しましょう。

メールや手紙の冒頭文は、
「お世話になっております。」ではなく、
「拝啓 この度は弊社製品をご用命いただき誠にありがとうございました。」
といったような丁寧な挨拶文を心がけましょう。

最後の文章では、「取り急ぎ書中をもちましてお詫び申し上げます 敬具」といった終わり方をしましょう。

一通り文章が書けたら、誤字脱字がないか確認しましょう。
宛先は間違いがあると大変失礼なため、しっかりと確認しましょう。

英語でのクレーマー対応

英語でクレームを言われた際に使える言葉を紹介します。

I understand what you mean.
おっしゃることは理解できます。

Thank you for letting us know about your experience with our services.
弊社サービスについて知らせいただき、ありがとうございます。

Please accept our sincere apologies for the inconvenience you may have experienced.
ご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ありません。

We have solved the problem and have taken measures to make sure it does not happen again.
問題点はすでに解決し、再発しないように対策を講じました。

I am sorry. Please, let me confirm with the staff.
失礼致しました。只今担当に確認してきます。

理不尽・脅迫目的であるクレーマーへの対応

クレームの中には、不当クレームといい、脅迫目的や金品をもらう目的など、要求自体に不当性があるクレーム存在します。

この場合、担当者のみでの対応は不可能であるため、不当クレームとして上司に即相談して代わってもらったり、顧問弁護士などに相談したりするなど、組織単位で対処する必要があります。

暴言を吐くなどしてクレーマー対応が難しくなった場合は、

「同様のご指摘が続くようでしたら、弁護士など第三者に対応を委ねます。」と言いましょう。

クレーマー対処方法まとめ

どのクレーマー対応にも活用できる例文や、不当なクレームに対する警察対応・法律について紹介します。

【例文】クレーマー対応で使える言葉

クレーマー対応で使える例文を「謝罪・反省」、「共感」、「感謝」の言葉に分けて紹介します。

謝罪・反省

申し訳ございませんでした

ご意見を真摯に受け止めます

共感

おっしゃるとおりでございます

ご指摘ごもっともでございます

感謝

恐れ入ります

ご一報ありがとうございます

不当な要求をするクレーマーへの対応で警察は呼べるのか

警察に1件の相談のみで、犯人は逮捕できません。
そのため、日頃からクレーマーについて相談しておく必要があります。

また、クレーマーが電話した場合だけでは警察は対応できません。

しかし、クレーマーが繰り返し電話をし続けるなど、会社の業務に支障がでてしまう場合は、刑事上の責任の問題が発生することになりかねないため、警察は「クレーマーの行動によって業務に支障がでている」となり民事不介入といわずに対応してくれます。

クレーマーに対する法律〜お客様にはどのような罪があるのか〜

ここではクレーマー対応に使える法律を紹介します。

威力業務妨害罪(刑法233 条)

大声などで業務を妨害した場合

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

不退去罪(刑法130条後段)

現場から立ち去らない場合

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

暴行罪(刑法208条)

暴行を加えた者が、人を傷害するに至らない場合をいい、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処せられる。

このようにクレーマーに対応できる法律があります。
しかし、どの法律が適用されるのか、訴えられるのかわからない場合は弁護士に相談しましょう。

クレーマー対処の心得・コツ

クレーマー対応の心得やコツを紹介します。

まずは謝罪

事情や代替案を言う前に謝罪して誠意を示しましょう。
動揺してしまうと戸惑いの言葉が出そうですが、まずは謝罪しましょう。

理由を先に説明してしまうと謝る気がないのかと思われてしまいます。

クレーム対応で電話をきるのはNG

電話でクレーマー対応する際に、途中で電話を切ってしまうのはNGです。
担当者に代わる場合はその場で代わってもらうか、折り返し連絡しましょう。

話が終わって電話を切る際には必ず相手が電話をきったらきりましょう。

クレーム対応は録音するべき?

メモ、録音、録画等は、基本的に相手の承諾を必要とはしません。

実際に多くの電話窓口では、クレーム対策などの目的で会話内容を録音しています。

会話の録音により、クレームの原因を把握でき、クレーム内容の共有もしやすくなるためです。

クレーマーに対応しない・無視した場合はどうなる?

クレーマーに対応しない、クレーマーを無視した場合に想定されるケースを紹介します。

クレーマー対応のミスは風評被害を引き起こす

クレーマーに対応しない、クレーマーを無視した場合は風評被害に繋がります。
風評被害とは、風評(評判・評価)によって、経済的な被害を受けることです。

悪質なクレーマーの場合、クレームを言うだけでなく、ネットに書き込む危険性もあります。

適切なクレーマー対応ができなかった場合、そうした風評被害のリスクが高まります。

また、口コミで風評被害と見受けられるようなクレームがあった際には、業者に依頼してコメントの削除も検討しましょう。

適切なクレーマー対応で風評被害を防ごう

今回の記事では、電話やメールにも活用できる、ケース別の悪質なクレーマー対応とそのポイントを紹介しました。

適切なクレーマー対応でさらなる風評被害を防ぎましょう。