「風評被害を防ぎたいが、どのように対策したら良いのかわからない」と考える企業様に、風評被害の対策方法を紹介します。
風評被害を防ぐには、日頃からの対策が必要です。
そのため、風評被害対策にはどのような方法があるのかを紹介し、対策した事例も紹介します。ぜひ企業の風評被害対策に関するマニュアルとしてご活用ください。
風評被害とは|風評被害についてわかりやすく解説
まずは、風評被害の意味を押さえましょう。
風評被害とは、根拠のないネガティブな情報から、顧客が減少したり求人数が減ったりするなど、風評(噂や評判)からでる被害を指します。
近年この風評被害は、ネット上で多く見られるようになりました。
例えば、お店が掲載されているGoogleMapの口コミに、従業員の悪口が書かれていたり、企業名を検索した際に、サジェスト(検索候補)で「最悪」と出てきてしまい、求職者に悪い印象を与え求人数が減ってしまうことなどが挙げられます。
(サジェストの意味については▶こちらの記事で解説しています。)
しかし、Google口コミにある悪口や企業のサジェストなどを、企業側が気づく機会は多くありません。
このように風評被害は、企業側の気づかぬうちに発生してしまうのが特徴です。
そのため、風評被害を防ぐには、日頃からの対策が必要です。
(風評被害対策の意味については▶こちらの記事で解説しています。)
ネットの風評被害が広まる背景
ネットの風評被害は年々増えています。
その理由として、求職者や検索ユーザーにとって、店舗情報とともに掲載される口コミや、転職サイトで企業の口コミが簡単に投稿できるようになったことが挙げられます。
企業側も商品情報や企業情報をネット上やSNSで掲載できる分、消費者や顧客も意見や感想をネット上やSNSで投稿できるようになっているのです。
求職者や消費者からしてみれば、ネットで口コミを見るだけで実際に商品を利用したり企業で働いたりした人の意見や感想が見られるのは便利と言えます。
しかし、企業側からすれば、求職者や顧客からの企業や商品に対する評価が下がる危険性という「レピュテーションリスク」を高めてしまうのです。
(レピュテーションリスクについては▶こちらの記事で解説しています。)
ネガティブな口コミ一つで購入や就職をためらう人は少なくありません。批判的な意見は肯定的な意見よりも影響力があると言われています。
そのため、ネット上に口コミなどの情報が多くあるほどレピュテーションリスクは高まり、風評被害を受けやすくなるといえるでしょう。
このような背景を理由とし、風評被害対策に取り組む企業は増えています。
風評被害対策するメリット
風評被害対策を行うメリットを3つ紹介します。
ブランディング向上
風評被害対策を行うことにより、サービスや会社のブランディングが向上します。風評被害対策では、サービスや会社のマイナスイメージとなるキーワードやキーワードに関連するコンテンツの情報を対策します。これにより、ネット上で会社名やサービス名を検索した際にネガティブな情報は目にとまることなく、会社のイメージが良くなります。
採用力強化
最近では、就職活動者は志望企業をネットで調べて情報収集し、応募するかどうか判斷するという方法が一般的です。
万が一、企業名を就職活動者が検索してネガティブな印象を与えてしまうようなキーワードやそれに関連するコンテンツがあった場合、就職活動者の志望度は下がりかねません。
そこで風評被害対策をしてネガティブなキーワードやコンテンツの情報を対策すれば、就職活動者への印象が良くなり、採用力強化につながります。
経済的リスクを回避
風評被害を受けた場合、サービスの解約などの経済的リスクが発生する恐れがあります。例えば、商品名を検索したい際に、ネガティブなサジェストやコンテンツの情報出てきてしまった場合や、そのサジェストに関連した情報があるコンテンツが存在する場合、サービスイメージが悪くなり、サービスを解約してしまう人がいるかもしれません。また、サービスの購入を検討していたものの、購入を諦めてしまうかもしれません。
風評被害対策をしていればそのような経済的リスクを回避できます。
風評被害の例
実際に、風評被害にはどのような種類があるのか例を上げて紹介します。
ネット炎上
ネット炎上とは、企業のSNSアカウントや従業員のSNS、企業HPでの誤解を招く発言や、不適切な発言により、SNSや掲示板で誹謗中傷など企業や従業員を批判する意見が殺到することです。
ネットの炎上は個人だけでなく、企業でも起こる可能性はあります。
ネット炎上の実例|風評被害
ネット炎上の事例については、▶こちらの記事で紹介しています。
転職サイトでの口コミによる求職者減少
求職者が見る転職サイトの口コミに、誹謗中傷や批判的な内容や悪口が書かれている場合、求職者の就職志望度が下がってしまい、結果的に求職者が減少して採用に悪影響を及ぼしてしまう被害です。
転職サイトでの根拠のない悪質な誹謗中傷のような投稿は、転職サイト自体従業員が目にすることがあまりないため、企業側が気がつきにくいのが難点と言えます。
また、企業が採用活動に励んでいても、口コミサイトにネガティブな情報があれば、その企業を検索した人がネガティブな情報を見て志望度が下がってしまうため、採用活動が水の泡となってしまいます。
口コミや掲示板による売上減少
口コミや、掲示板の投稿内容次第で、消費者は別の商品を検討してしまう可能性があります。
例えば、口コミに根拠のない商品や誹謗中傷などサービスを悪く書いた投稿を、その商品の購入を検討している人が見た場合、商品の購入をためらってしまいます。
最近では購入検討時に口コミサイトを判断材料とする人や、比較サイト・口コミサイトが増加しているため、注意が必要です。
口コミや掲示板から派生するサジェスト
口コミや掲示板でネガティブなワードが多用されていた場合や誹謗中傷の言葉が多用されていた場合、サジェストにもそのようなワードが出てきてしまいます。
例えば、口コミで「悪質」というワードが多用されている場合、企業名を検索した際に、企業名の横に検索候補として「悪質」というワードが出てきてしまいます。
このようにネガティブなサジェストが出てきてしまった場合、ユーザーが検索している段階で悪い印象を与えてしまいます。
企業が風評被害を防ぐには|風評被害対策マニュアル
主な風評被害対策の手法を4つ紹介します。
自社に合った方法を探してみましょう。
削除申請
ネガティブな投稿や誹謗中傷の言葉が掲示板や口コミにあった場合、投稿者や権利者に削除を依頼する方法です。
また、業者に削除を依頼する方法もあります。
削除依頼は、業者や弁護士に依頼しなくても一人ででき、削除依頼を自分でする場合、費用はかかりません。
しかし、削除申請は、申請時には利用規約に違反していたり、投稿が第3者から見て不適切であると判断できたりする場合でなければ、必ずしも削除されるとは限りません。
削除申請を業者に依頼すれば、費用がかかってしまいますが、サイトや検索エンジン側に直接削除を交渉してくれる場合があります。
(削除依頼については▶こちらの記事で解説しています。)
削除対象で多いのが、口コミです。
口コミの場合は、口コミを投稿した人ではなく、口コミを提供している管理企業に対して問い合わせましょう。
大抵のサイトではお問合せフォームや、不適切であると判断した投稿を報告するフォームが設けられています。
そのフォームにおいて、対象となる口コミがどのように利用規約に違反しているのかや、不適切であるかを明記しましょう。
口コミ削除に関しては、▶こちらの記事で詳しく解説しています。
弁護士に相談
投稿内容が法律に違反していたり、権利を侵害されたと判断できる場合は、弁護士を通して相手の身元を開示請求し、削除可能です。
しかし、法的に権利が侵害されていると主張できたり、投稿内容が法律に違反している場合でなければ、弁護士を通しての投稿者の特定や削除請求はできません。
業者依頼
風評被害対策を専門とする業者に風評被害対策を依頼する方法です。
対策内容は業者によってさまざまですが、多く用いられるのが逆SEO対策です。
被害を受けた投稿やサジェストを、検索した際に目につきにくくする手法です。
(逆SEO対策については▶こちらの記事で解説しています。)
逆SEOの対象は、多くがサジェストです。サジェストは検索段階でユーザーに見られてしまうため、対策を検討する企業が比較的多くいます。
(逆SEO対策の費用に関しては▶こちらの記事をご覧ください)
サジェストは、検索段階で企業の印象を左右してしまう他、「最悪」や「反社」などといったネガティブなサジェストの方がそうでないサジェストよりも多く検索されてしまうため、優先すべき対策と言えます。
(▶こちらの記事では、サジェスト対策に関して詳しく解説しています。)
逆SEO以外の対策方法では、監視が挙げられます。
風評被害対策における監視とは、日々企業や商品について悪く書かれている投稿がないかをパトロールすることです。
監視するだけでなく、投稿内容からどれくらいのレピュテーションリスクがあり、どのような対策が有効かを示してくれる業者もあります。
また、企業内のサジェストや投稿を見て、上記に挙げた対策方法以外にもWebサイトの改善など、風評を上げる対策も提案するコンサルティングサービスを提供している業者もあります。
風評被害対策の業者が展開するコンサルティングサービスは、風評被害対策に対して知識がない、自社における風評被害対策の必要性から知りたい企業におすすめです。
風評被害対策についてより詳しく知りたい方は▶こちらの記事をご覧ください。
従業員教育やガイドライン策定など|自社内で取り組む風評被害対策
自社内で取り組める風評被害対策について4つ紹介します。
1つ目は、ガイドライン策定です。
SNSの利用規約を設けたり、社用SNSアカウントやHPでの利用規約を設けましょう。
例えば、個人が特定できる職場に関する投稿や、顧客情報に関する投稿の禁止などを策定しましょう。
2つ目は、従業員教育です。
策定したガイドラインについて説明しましょう。また、ガイドラインに対する意見も聞いて取り入れましょう。
3つ目は、顧客調査です。
顧客に日頃サービスに関して不満に感じている点や、従業員の対応について満足できているか調査しましょう。日頃から顧客の不満を聞いて改善していれば、悪口を書き込まれる率は下がります。
顧客の意見をもらえたら、改善策をたてて実行し、その過程を発信しましょう。
4つ目は、従業員調査です。
従業員に対して、日頃働いている中で職場環境や業務に関する意見を聞いてみましょう。上司や同じチームの人に言えない不満が聞けるかもしれません。
不満に対して調査して改善していけば、求職サイトなどの口コミに不満を書かれる率が下がります。
(▶こちらの記事では自社で風評被害対策を行うメリット・デメリットについて解説しています。)
風評被害対策の実例
ここでは、風評被害対策の実例を2つ紹介します。
事例1|事実無根の記事
事実無根のニュース記事が大手ニュースサイトに掲載され、複数のサイトに転載されたとある上場企業の事例です。
事実無根のニュース記事が大手ニュースサイトや複数のサイトに転載され、昨年風評被害対策には1500万円ほどの予算をかけて対策していましたが、一向に成果が出ず困っていたところ専門業者に削除などの対応をしてもらいわずか10日間で解決しました。
事例2|サジェストに「ブラック」
会社名で検索した時に、検索結果に会社への誹謗中傷をしているサイトが検索結果の上に表示されていました。
同様に、検索結果の関連ワードに「会社名+ブラック」やイメージの悪いワードが出てきており、弁護士に相談したところ、3週間で削除できたそうです。
風評被害対策を効果的にする方法
ここからは、風評被害対策を効果的にすすめるポイントを紹介します。
ネガティブキーワードを発見して風評被害対策
まずは、企業名や商品名を検索して、ネガティブな印象を受けてしまうような書き込みがないかモニタリングしてみましょう。
消費者や求職者目線に立って見た際に、購買意欲や求職意欲を落としてしまうような内容のものがあれば対応する必要があります。
しかし、企業名や商品名をこまめにモニタリングするのが困難である場合は、業者に頼む手段も考えましょう。
業者にモニタリングを依頼する場合は、機械のみでの監視方法か、人による監視方法か、機械と人で行う監視があります。
機械のみの監視では、黒色のブラックとブラック企業のブラックが混同していたりするケースなどが見受けられたり、人による監視であれば、監視対象が限られてしまうため、機械と人で行う監視方法を推奨します。
従業員のSNS利用に関する意識を調査
従業員のSNSに対する意識を調査しましょう。また、利用目的や利用頻度、利用アプリケーションやサイトについても聞きましょう。
ガイドライン策定時には、この従業員のSNS利用に関する意識を調査を基にしてみましょう。
最近では、従業員がSNSで不適切な発言をしたことによって炎上するケースが増えています。ここではその一例を紹介します。
企業SNS|不謹慎な発言
長崎市に原爆が投下された8月9日に、東京ディズニーリゾートがTwitterの公式アカウントで英語を直訳した「なんでもない日おめでとう。」とツイートを投稿しました。
SNSでは批判が殺到し、該当ツイートの削除とタイミングを考えずに不適切な発言をしてしまったことに対して謝罪しました。
風評被害対策の優先順位をたてる
対策すべきコンテンツや社内施策など、優先順位を立ててどれを自社で行うのか、業者や弁護士に依頼するのかを決めましょう。
とくに発生しそうな被害が見受けられない場合
監視の結果、特に風評被害へとつながるようなコンテンツがない場合は、以下のステップで対策しましょう。
1.従業員調査
従業員のSNSや職場に関する不満を調査
2.顧客調査
顧客満足度調査と不満点の改善
3.コンテンツ施策
会社の良い点や商品の良いポイントをWebサイトやWeb広告でアピールし、ネガティブなコンテンツが上位表示されるのを防ぐ
4.監視継続
被害発生しそうな場合
監視の結果、風評被害が発生しそうなコンテンツが有る場合は以下のステップで対策しましょう。
1.サジェストをチェック
ネガティブなサジェストがないか見て、そのサジェストを生んだコンテンツを見つけましょう
2.コンテンツやクチコミの削除
サジェストの原因となるコンテンツやクチコミを業者や弁護士に依頼して削除してもらいましょう
3.被害程度が低いものは逆SEO対策
コンテンツから予想される被害が比較的少ないものは逆SEO対策するのも一つの手段です
4.コンテンツの原因を対処
ネガティブコンテンツの発端となったコンテンツの内容を見て、職場環境改善やサービス改善に取り組みましょう
内容によっては、顧客や従業員に謝罪しましょう
5.コンテンツ施策
再びネガティブな印象を受けてしまうようなコンテンツが発生しないよう、サイト改善やマーケティング施策に取り組みましょう
困ったら業者に相談
風評被害に関して知識がない状態で取り組むと、さらなる炎上を招いてしまう可能性があります。
そのため、風評被害対策に関して迷っている場合は、専門業者に問い合わせましょう。
対策をせず、相談やお見積りまでであれば、料金が発生しない場合もあります。
業者選びのポイント
業者を比較する際のポイントを紹介します。
- 料金が相場にあっているか(高すぎ、安すぎは注意)
風評被害対策の料金相場は▶こちら - アフターサポートがあるか
再発防止サービスや定期的なサポートがある業者がおすすめです - 実績があるか
風評被害対策の業者が増えている中、業績で判断するのがおすすめです
同じ業界の対策実績があるかどうかもチェックしましょう
(▶こちらの記事では風評被害対策を行う業者について比較しています。)
対策内容選びのポイント
対策内容を選ぶ際のポイントを紹介します。
程度が低いから順に
- 逆SEO
- 削除(業種)
- 弁護士
がおすすめです。
程度関係なく
- 監視
- 従業員教育
- 調査
これらの施策はやっておいたほうが良い対策方法です。
風評被害対策の価格は?
監視する対象が、コンテンツであったりサジェストであったりと異なる場合、費用も異なりますが、風評被害対策に関する費用は、概ね月額1万円〜30万円です。
(風評被害対策に関する費用については▶こちらの記事で詳しく解説しています。)
風評被害対策におすすめの本
風評被害対策を推進するにあたり、役立つ書籍を2つ紹介します。
<h4>炎上した際の対応が分かる
1つ目に紹介する書籍は、「企業を守る ネット炎上対応の実務」です。
弁護士の清水陽平氏が、企業が炎上発生後にとるべき対応を細やかに解説しています。SNSやWebなどで炎上はいつ起こるかわかりません。炎上発生後の対応は知っておくべきです。
炎上から守るSNS公式アカウントの運用方法
2つ目に紹介する書籍は、「SNS公式アカウント運営者のための企業の信頼失墜を防ぐ 法的リスク・炎上対策」です。
企業のSNS公式アカウントにおいて、よくあるトラブル事例から法的・炎上リスクを解説しており、SNS公式アカウントを運用する上で注意すべきポイントや、投稿の適否についての判断基準がつかめます。SNSガイドラインなど、具体的な対策方法も収録されているため、SNS公式アカウントを運用している、将来的に運用する企業は読んでおくべき一冊です。
まとめ-風評被害を防止する方法から自社にあった対策を選定しましょう
今回の記事では、風評被害対策の方法について紹介しました。
風評被害対策の方法を知っておかなければ、いざ風評被害を受けたときに被害が拡大しやすく、対応しにくくなってしまいます。
風評被害は受けたときの対応法も大切ですが、受ける前の対策も重要なのです。
風評被害対策の方法はいくつかあります。その中でも自社の風評被害が発生する可能のある状況がどれくらいかは判断しにくいでしょう。
そのような場合、業者に相談してもらうことをおすすめします。