「求職者が見る【キャリコネ】というサイトで、自社の悪口と見られる口コミが投稿されている」
「キャリコネに会社情報を掲載しているが、求人が集まらない」
キャリコネという求職者が閲覧するサイトにおいて、企業はこういった現象に直面する可能性があります。
キャリコネのみならず、転職会議・openwork・ライトハウスといった求職者が見るいわば転職サイトに、以下の図にあるような口コミや、
上の図にあるように、
「A社のB課に〇〇という上司にパワハラされた」とか
「面接で〇〇という面接官に履歴書の内容をばかにされた」
というような内容の口コミがあっては、求職者に悪い印象を与えてしまい、求職者が減少してしまいます。
このような口コミは、決して事実とは限りません。また、既存従業員による悪意ある投稿かもしれません。
しかし、まだ志望企業についてあまり知らず、就職先を探している求職者にとっては、口コミは企業情報を知る重要な情報源であるため、口コミが事実無根であろうとも信じてしまうのです。
事実無根の口コミや誹謗中傷目的の口コミで求職者が減少しては、企業が損失を受けてしまいます。
そのため、企業は人材や企業イメージを確保するためにも、口コミを対策する必要があります。
また、口コミ対策は企業の風評被害対策にも繋がります。
風評被害対策については▷こちらの記事を参考にしてください
今回の記事は、採用担当者必見のキャリコネにある口コミの削除に関する解説です。
キャリコネのサイト概要から、口コミを削除しないことのリスク、実際の削除方法、ネガティブな口コミが発生する原因やその対処方法を解説します。
実際のキャリコネの口コミ削除方法は、それぞれメリット・デメリット・費用相場を紹介しています。
キャリコネについて
まずは、キャリコネの概要について紹介します。
キャリコネはどのようなサイトか、ほかの求人情報サイトと比べて何が違うのかをおさえておきましょう。
キャリコネとはどんなサイト?
キャリコネとは、株式会社グローバルウェイが提供する、企業の評判・口コミ・年収などが掲載された、転職・就職に役立つ情報サイトです。
2022年現在では、620,683の企業が登録されています。
キャリコネに登録した求職者は、企業の口コミだけでなく、年収・給与明細も見られます。
そのため、志望企業のことをよく知らない人でも、サイトでの給与情報や口コミを見れば、志望企業のリアルな年収や雰囲気などが分かるのです。
また、キャリコネは、注目職種の仕事内容や満足度、平均年収をまとめた職種研究や、転職お役立ちニュース、転職するときの心構えから職務経歴書の書き方、面接のポイントをまとめた転職ガイドを提供しています。
特に、各企業の社員と直接相談できるのはキャリコネならではの特徴です。
つまり、キャリコネはさまざまな角度から働く人のキャリアをサポートする情報を提供しているサイトだと言えるでしょう。
キャリコネの口コミを閲覧できる人
口コミや企業情報をすべて見るにはキャリコネに登録する必要があり、キャリコネに登録できる人は、キャリコネIDを取得した人です。
キャリコネIDはメールアドレス・パスワードのほか、Google・Yahoo・X・Facebookのアカウントで取得できます。
キャリコネIDの取得は無料でできます。
上記いずれかの方法で登録したら、基本情報を登録します。
キャリコネに登録しないで口コミは閲覧できるのか
登録しなければ、すべての口コミは閲覧できません。
下の図のように、口コミの一部しか閲覧できないのです。
口コミを見るためのキャリコネID取得方法
社会人と学生とでは、キャリコネID取得のために入力する情報が異なります。
社会人の入力情報は以下です。
- 名前
- 性別
- 男性女性
- 生年月日
- 郵便番号
- 年収
- 雇用形態
- 経験職種
- 最終学歴
- 卒業年月
- 卒業学校
- 学部系統
社会人の場合、キャリコネで口コミをすべて見るには
社会人が口コミをすべて閲覧するには、キャリア情報を入力する必要があります。
また、口コミを登録するという選択肢もありますが、口コミだけを登録した場合、キャリコネにある口コミは1年しかすべて閲覧できません。
キャリコネは学生でも登録できる
キャリコネは学生でも登録できます。
就職活動でキャリコネの企業情報を参考にする学生もいるようです。
学生の入力情報は以下です。
- 名前
- 性別
- 生年月日
- 郵便番号
- 携帯電話番号
- 就職希望業種(3つまで)
- 学校情報 (大学・大学院・高専・短大・専門)
- 卒業予定年月
- 学校名
- 学部・学科名
- 学部系統
- 文理区分
- 英語レベル
- 志望企業など
学生の場合、学校から付与された個人のメールアドレスが必要となります。
なお、「学校から付与された個人のメールアドレス」が無い場合は登録できません。
キャリコネは無料で口コミ投稿できるのか
キャリコネ登録に必要なキャリコネIDは無料で取得できると説明しましたが、キャリコネで口コミを投稿する際も無料でできます。
ただし、レポートする企業は1年以上在籍した企業が対象です。
キャリコネによる口コミの審査基準や削除対象
キャリコネは、口コミに対し、一定の単語の規制をかけたり、投稿内容の事後検閲体制により、社会道徳に反するような誹謗中傷といった不適切な投稿を発見した場合は削除したりするなど、利用者の同サービスに対する便宜性・信頼性を失わないように規制・監視に努めています。
また、基準と照らし合わせて内容が不適切と判断された情報については、削除・サービス登録の無効化などがあります。
今後はキャリコネ内のAIによる口コミ削除の審査も
これまでは、投稿内容の事後検閲をプログラムまたは目視でしていましたが、人工知能(AI)による口コミ検閲システムを導入するそうです。
これにより、キャリコネの口コミ審査がより厳しくなると予想されています。
参考:PR TIMES 企業に関する口コミ情報サイト「キャリコネ」が、「AIによる口コミ検閲」を開始
キャリコネの口コミを削除しないと起こる悪影響
ここでは、キャリコネにある、求職者にネガティブな印象を与えてしまうような口コミを削除しなければ、企業にはどのような影響が出てしまうのかを解説します。
口コミを削除しないことによって起きる被害は、企業の気づかぬうちに起こるため、企業側はイメージしづらいものです。
以下を読んで被害を想定してみましょう。
求職者が集まらなくなる
第一に、求職者にネガティブな印象を与えてしまう口コミがあれば、求職者が集まらなくなってしまいます。
もし、志望企業が複数あり、他の企業の口コミに良い情報が掲載されている場合、他の企業の志望度が上がり、本来見ていた企業の志望度が下がってしまうかもしれません。
また、口コミの影響で、惰性で志望した求職者や、志望度が低い求職者が集まる可能性も考えられます。
企業の情報収集はネットが主流となってきた今、企業の第一印象はネットで決まると言っても過言ではありません。求職者の企業選びの判断材料が口コミである場合も考えられます。
そのため、企業は求人サイト掲載や説明会開催などといった採用活動のみならず、口コミ対策も必要なのです。
退職者が発生
キャリコネの口コミは、1年以上働いた従業員に投稿されています。
そのため、自社の口コミが悪かった場合、自社への印象が下がり、退職を検討する従業員も発生する可能性もあります。
就職した企業の口コミを閲覧する従業員は多くはいませんが、もし閲覧した場合、社内に悪い噂が広がったり、さらに悪い口コミを書き込まれるかもしれません。
サジェストに影響する
特に注意したい悪影響はサジェストです。例えば、口コミ内に「パワハラ」というワードが多く書き込まれていた場合、
会社名を検索した際に検索候補として
〇〇会社 パワハラ
というように出てきてしまいます。
こうした場合、求職者や顧客が口コミを見ないでも悪い印象を与えてしまうのです。
サジェストとは
サジェストとは、Googleなどの検索エンジンで検索するワードを打ち込んだときに、候補として出てくるワードです。
サジェストの意味は、▷こちらの記事で詳しく解説しています。
サジェスト対策に関しては、▷こちらの記事で紹介しています。
顧客や取引先への印象が下がる
求職者だけでなく、顧客や取引先が口コミを見た場合、印象が悪くなります。
売上が下がる
取引先や顧客に口コミを見られて、悪い印象を与えてしまうような物があった場合、売上現象も考えられます。
このように、口コミの内容次第で、採用にさまざまな悪影響が出てきてしまうのです。
たとえ採用活動を熱心にしたとしても、求職者がその企業をネット検索して悪い口コミやサジェストを目にしてしまえば、求職者数が減ったりと採用活動が逆効果となってしまいます。
そのため、採用活動において、口コミ対策は必須と言えるでしょう。
キャリコネの口コミを削除する方法3つ
では、キャリコネの口コミはどのように削除・対策できるのでしょうか。
今回は3つの方法を紹介します。
それぞれ、メリット・デメリット・費用相場を解説するため、自社にあった解決方法を見つけてください。
キャリコネの口コミを削除依頼する場合
キャリコネに対して自分で削除依頼する方法です。
年収・給与レポート、口コミ・評判レポート、面接体験レポートの削除を要請する場合は、以下にあるフォームから申請します。
基本的には利用規約に反していなければ、削除されません。
投稿の削除を依頼される際は、弊社が利用規約に反していると判断できる理由・根拠のご説明、資料が必要です。
運営会社はキャリコネの利用規約に従って対応しますが、削除を約束するものではありません。
削除申請に応じるか否かは、5営業日以内にグローバルウェイがキャリコネ利用規約に従って判断されます。
判断結果はメールで連絡されますが、判断理由は原則として連絡されません。
キャリコネの口コミ投稿における利用規約
キャリコネでは、以下の内容に気をつけるよう公表しています。
- 個人情報の記載
- 客観性のない書き方
- 特定の個人の批判
- 一部にしか分からない言葉や略語
- 顔文字や装飾を目的とした記号の多用
また、利用規約の禁止事項に関しては以下の項目があります。
- 虚偽の内容の投稿
- 他人の著作権、名誉、プライバシーその他の権利を侵害する或いはそのおそれのある内容の投稿その他の行為
- 他者を差別もしくは誹謗中傷する行為
- 理由が書いていない批判(なお、評価のみの投稿はこれに該当しないものとします)や、意図的に特定事業者の名誉又は信用を毀損する行為
- 宣伝、勧誘行為
- ウィルス等の有害なプログラム等を送信または掲載する行為
- 性的、猟奇的表現を含む情報を掲載する行為
- 日本国内及びネットワーク設備を設置している国の法律に違反する、又はそのおそれのある行為
- 自己に関する虚偽の個人情報を弊社に申告する行為
- 本サービスの趣旨に反する行為
- 法令や公序良俗に反する行為
- 犯罪行為、又は重大な危険行為に結びつくおそれのある行為
- 上記に準ずる行為及びその他の弊社が不適当と判断した行為
引用:キャリコネIDラウンジ 企業に関するアンケートの利用規約
削除依頼のメリット
削除依頼のメリットは、コストがかからない点です。ファームで削除依頼の理由を送るまで、費用は一切かかりません。
また、自身のペースで申請できる点はメリットと言えるでしょう。
削除依頼のデメリット
削除申請のデメリットは、交渉力が弱い点です。
削除申請しても、必ずしも削除してもらえるとは限りません。
キャリコネの場合、削除が申請されなかったとしても理由は教えてくれないため、どういった点で交渉が足りないのかもわかりません。
削除依頼の費用相場
削除交渉においては、特に費用はかかりません。
キャリコネの口コミ対策を弁護士に依頼する場合
続いては、弁護士に口コミ削除を依頼する場合です。
弁護士に依頼する場合、投稿内容が法律に違反していることが条件となります。
キャリコネの削除したい口コミ投稿者を特定する方法
弁護士に依頼すれば、キャリコネの投稿者を開示請求(特定)できます。
開示請求とは、「プロバイダ責任制限法第4条」に基づく情報開示請求です。
Web上で誹謗中傷の表現をした発信者の情報(住所・氏名・登録された電話番号等)を、プロバイダ(パソコンやスマホとインターネットをつなぐための「接続サービス」を提供する通信事業者)に対して、情報の開示を求める制度です。
開示請求は、情報公開法第3条により、「何人も、この法律の定めるところにより行政文書の開示を請求することができる」と記されています。
つまり、誰でも開示請求でき、国籍等による制限もなく、誰に対しても等しく開示請求権が認められています。
しかし、手続きが煩雑であり、適合するかわかりにくいため、弁護士に依頼するケースがほとんどです。
弁護士に依頼する場合のメリット
弁護士に依頼するメリットは、法律に詳しくなくても、開示請求や賠償請求ができる点です。
相談するだけでも、自社がどのような権利を侵害されているのかが分かります。
弁護士に相談するデメリット
弁護士に依頼する場合のデメリットは、法律に関係していなければ、何も解決できないという点です。
弁護士である限り、法律に関係している問題でなければ解決はできません。
弁護士に依頼する場合の費用相場
弁護士に相談する場合は10万円〜となります。弁護士を通した削除請求の場合は10万円〜ですが、投稿者を特定する場合には60万円位が必要となります。
弁護士に相談して対策して貰う場合、対象となるコンテンツによって権利が侵害されているなど、法律に違反している場合に限るため、注意が必要です。
参考:風評被害対策の費用はいくら?|会社が風評被害を受けた・防ぐ場合
キャリコネの口コミ対策を業者に依頼する場合
キャリコネの口コミを業者に対策してもらう場合、対策にはいくつかの種類があります。
ここでは、3つの対策を紹介します。
サイト改善
1つ目は、サイト改善です。特定の口コミの削除ではありません。ほかのサイトの内容を強化したり、コンテンツを増やしたりする改善策です。
逆SEO
2つ目は、逆SEOです。
こちらも特定のコンテンツ削除ではなく、ほかのコンテンツを上位表示させて特定のコンテンツを押し下げる手法です。
こちらの施策は、一歩やり方を間違えるとペナルティを課せられるため、業者に依頼するのが普通です。
多くの業者の場合は、この逆SEOを提案します。
逆SEOについて更に詳しく知りたい方は、▷こちらの記事を参考にしてください。
業者による削除
業者による削除です。先程の削除請求とは違い、削除交渉となります。
削除交渉の場合、対応できる業者は限られてしまいますが、高確率でサイト側や検索エンジン側に削除を交渉できます。
また、口コミ自体ではなく、サジェスト自体の削除も可能としている業者もあります。
悪い口コミもあり、サジェストもある場合は、サジェスト削除の優先を推奨します。
業者に依頼するメリット
業者に口コミ対策を依頼することのメリットは、サイト改善など、口コミだけの対策ではなく、同じような口コミが投稿されないような対策を考案してくれたりと、アフターフォローが充実しているところです。
ネガティブな口コミが投稿されてから、対処するのが一番大切ですが、その後のサイト改善なども重要です。
業者に依頼するデメリット
業者に依頼するデメリットは、費用がかかる点です。
費用と一言に言っても、口コミの内容などによって費用が変動します。
業者に依頼する費用相場
業者にクチコミ削除を依頼する場合、1件あたり5万円〜です。普通は1件あたりで費用が決まり、多くは成功報酬型です。
逆SEO対策の費用は、安い業者で月々5万円〜、一括100万円程度の費用が一度に必要となるケースもあります。
コンサルティングサービスにかかる費用は、5万円〜とされますが、程度によって費用は異なるため、多くの企業はコンサルティングサービスの費用を公表していません。
キャリコネに削除したい口コミが出る原因
なぜキャリコネの口コミに、削除対象となる口コミが発生するのでしょうか。
ここからは、その原因について解説します。
従業員の不満
既存の従業員が、上司との関係・給与・働きがいについて不満に思っているため、ネガティブな口コミを転職サイトの自社ページに書いてしまうのです。
もちろん、アンケート回答目的など正当な目的で口コミを書きこむ人はいますが、誹謗中傷目的である人もいます。
キャリコネで削除対象の口コミを出さないために
では、キャリコネで削除したいような口コミを出さないために、日頃から何ができるのでしょうか。
日頃からできる口コミ対策方法を3つ紹介します。
労務管理
1つ目は、労務管理です。労務管理とは、従業員の賃金・労働時間の管理を指します。従業員の賃金が適切であるか、過度な残業がないかを見逃さないようにしましょう。
労務管理に関しては、こちらの記事で紹介しています。
監視
2つ目は、監視です。これは、キャリコネの自社ページに有る口コミの監視を指します。キャリコネで誹謗中傷のような投稿があった場合、監視していれば早く対処できます。
従業員の職場環境における調査
従業員に、日頃から職場に対して不満がないか匿名でアンケートを取りましょう。そして、解決案を実行しましょう。上司やチームメンバーに対して直接は言えない悩みが聞けるかもしれません。
キャリコネに削除したい口コミを出さないようにしよう
今回は、キャリコネに掲載されている口コミの削除方法について紹介しました。
削除方法を理解して、自社にあった方法を判断することは重要です。
しかし、事実無根な誹謗中傷目的となるような口コミを出させない施策も必要です。
ぜひこの機会に職場環境を改善してみましょう。